試合を支配した雰囲気
結果論といわれればそれまでだがスタジアムについた瞬間、タイトルがかかった試合とは思えないほどの弛緩しきったムードに嫌な予感を覚えてしまった。
アントラーズ側から漂う殺気のようなものは本来はホームチームが放つものではなかったのか?
タイトルを前に泰然自若をしているといえばそうなのだが、どうもピースがすっきりとはまらないパズルのような、もぞ痒い違和感のようなものが試合開始後も続いていたような気がする。
それが全てを決したとは思わないが、少なくとも試合の方向性は決めてしまっていたような気がしてならない。
思い返してほしいのが去年の最終戦で、まさに「予定調和」であったかのようにレッズが終始試合の雰囲気を作り出していてその結果ガンバに付け入る隙をほぼ与えないままきっちりとタイトルを手中に収めたあの試合である。
天皇杯決勝・ACL決勝もそうであったがレッズの場合、チームを下支えする雰囲気であったり緊張感というものが劣勢を挽回することが割りと多い。そうしたものを味方に出来る選手個々の成長もあるのだがそうやって試合前から段階を経ていくことでタイトルが取れていたような気がしてならない。
そう考えるとアントラーズ戦のそれは過去のものと同一であるとは考えにくかった。
抽象的な話ばかりをしていて申し訳ないですが、敗戦の際に思ったこととして場内の雰囲気が決して「始めから」いいものではなかったということを付言しておく。
さて試合だが、終始アントラーズのやりたいようにやられてしまう。足かせでもはめられたかのように動きが鈍重でしかもサイドアタック一辺倒になってしまったために相手に読まれてしまうアタック、フロントプレスの応酬に翻弄されるディフェンスといいところはほとんどなかった。
まさによく言われる「自分たちで試合を難しくしてしまった」という展開であった。
新井場退場も本来は生かすべき展開で、アントラーズの中盤が下がり気味になったことで得たスペースをどうして生かせなかったのか?お決まりのようにサイドに振ってそこから仕掛けるだけでは相手はかなり楽だったに違いない。
小野伸二が入って10分ぐらいはアントラーズ側もレッズの変化に対応できていなかったように感じられる。そこかしこにチャンスの芽に繋がるようなスペースがあったのにそこを突く選手がいなかったのが痛かった。
それは失点よりも痛いこと。今のレッズの問題点は安定感の欠如ではなく攻撃のパワー不足でありそのことを物語るようなシーンであった。そこでスペースを活用してチャンスを量産していればスタジアムの空気も一変し少なくとも同点へと導けたであろう。
スタメンの選手は視野が狭くなっている、相馬や長谷部、ポンテといった選手がボールを持ってブレーキをかけてしまうシーンを何度も目にした。動き出しが遅いのは今に始まった話ではないが肝心の持っている選手の判断ミスが目に付いてしまった。
その中で細貝はかなり質の高いプレーを繰り出していた、ボールを持ったときの素早い判断、パス・ドリブルの基本技術の高さや相対する選手に対してもきっちりプレッシャーをかけにいける。この試合の唯一の収穫は細貝のプレーだったと思う。
ただその細貝も失点シーンの際に背後のスペースに対してのケアが甘くそこを野沢に使われてしまっていたのが悔やまれるところ。
試合終了後スタジアムが沈黙とならなかったのは「次勝てばOK」というのが土台にあったからであろう。その幾許かの心の余裕が吉と出るか凶とでるかはふたを開けてみないと分からない。
少なくとも得点力というよりも決定機不足を改善しないと横浜に守りきられる可能性だって十分にあるだけに油断してはならない。ミッドウィークにある天皇杯の対戦相手はそういった意味ではいいシュミレーションになるだろう。おそらくオジェックは駒を落とさないと思われるので、仮想横浜FCとして「いかに1点を早い段階でもぎ取るか?」その感覚を磨いてほしい。
そのときは後悔できても、その次は後悔したくてもしてはいけない試合になるのだから・・・。

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